庄原市東城町菅のJR芸備線備後八幡駅北側に新しく遮断機付きの「青木踏切」が完成した。地域は集落が線路で分断されていて、自動車やトラクターが通行可能な踏切の設置を住民が約20年前から市に求めていた。今回、踏切の前提となる周辺市道の拡幅に必要だった土地を住民が市に寄付。安全で使いやすい踏切が実現した。
これまでは遮断機も警報機もない幅1.3メートルの簡易踏切だった。人か二輪車などしか通れなかった。周辺の市道も幅2メートルしかなく、踏切設置には市道の拡幅が必要だった。
しかし市の規定で4メートル以下の市道拡幅のための用地買収はできない。
見かねた土地所有者の無職和田裕さん(63)が、市道沿いの約350平方メートルを市に寄付した。市が計5,100万円かけ、市道と踏切部分を4メートルに拡幅し、遮断機や警報器を設けた。5月上旬に工事を終え、開通した。
一帯は約20世帯が集まるが、家屋や田が線路で分断されていた。トラクターや自動車で線路の反対側に行くには、約20分かけて回り道する必要があった。
車の通行できる踏切の設置は1991年から住民が市に要望してきた。和田さんは「安全に気持ちよく農作業ができる。地域がずっと求めていたので協力したかった」と話す。
中心になって設置を求めていた会社員柳生茂さん(78)も「安全な踏切設置を機に、地域の交流ももっと深めたい」と喜んでいる。
中国新聞2011年(平成23年)5月24日付