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小鳥原橋梁の老朽度調査 遠心力で振幅ひどい 珍しい空洞ピヤーの検査

  • 執筆者の写真: 小鳥 原
    小鳥 原
  • 2024年9月15日
  • 読了時間: 3分

中国地方で山陰本線の余部橋梁に次ぐ高い鉄橋として知られる芸備線道後山-落合間の第一小鳥原橋梁と第二小鳥原橋梁の老朽度調査がこのほど岡鉄局の依頼により、国鉄公社の鉄道技術研究所(東京)から構造物研究室長多田美朝技師・同主任研究員大地羊三技師・同研究員樋口芳明技師・同地質研究室梶田善技師ほか7人の技官が派遣され、同線東城保線区の協力で、起振動機(ローゼン・ハウゼン方式)による強制振動と営業列車通過時における最大振動の測定、超短波による橋梁の材質検査などが行なわれた。

管内で珍しい橋梁

第一小鳥原橋梁の高さは26.6m(水面からの高さ約30m)長さ146.28m、橋脚8本で鉄筋コンクリート製橋梁としては中国で一番高い。第二小鳥原橋梁は高さ21.6m・長さ111.95m・橋脚5本。いずれも昭和11年10月芸備線小奴可-落合間の開通と同時に竣工したもの。

この橋梁の特徴は橋脚が長いためにその自重で基部の支持力が弱いのでこの欠点を補う目的で第一小鳥原橋梁が8本のうち5本、第二小鳥原橋梁が5本のうち4本まで厚さ40cmの空洞ピヤーになっているが、岡鉄局管内でも他に例のない珍しいものである。

技研が精密に調査

テストは2つの橋梁でそれぞれ3本ずつ行われ、このため技研から前もって検査機材を貨車2台で送り込んでいた。振動テストは1本の橋脚を3等分して、天端と基部のほかに中間2ヵ所に橋脚振動計を取りつけ、橋梁のレール上に直径約1mの起振動機をすえ、これを電磁型変位計(調整器)と電源につなぎ、調整器で交流を直流になおして起振動機の回転数を調節しながら、一定周期の強制振動を橋脚の上部と橋ゲタに与える。天端に取りつけた振動計は橋脚上部の振動を遠心力応用の左右前後に振幅する3つのオモリに伝え、オモリの動きで、50倍に増幅された振幅度が、ススでいぶした紙の上に針で自動的に記録されてゆく。

また橋脚基部に設置したオシロ・グラフは中間に設けた振動計をとおして、橋梁の各部の振動度を繰り出される紙の上に増して6本の針で赤インキで自記測定してゆく。振動の単位は普通1ミリから2ミリ前後である。また営業列車通過時の固有振動も同じ方法で測定される

超短波で材質検査

次に超短波を利用するコンクリートの材質検査ならびに探傷の測定は、発振子と受振子を橋脚の壁に1mの間隔をおいて押しあて、1ヵ所で上下左右から4回超短波を発し、超短波が受振子に達する時間を地上のソニー・スコープの直径15cmばかりの受像器にウェーブで映像し、これを時間に替えて記録し、コンクリートの老朽度や傷を測定する。

わが国唯一のソニー・スコープ

いずれも構造物を損じないで測定できる有利な方法で、このテストで使用されたソニー・スコープはカナダから輸入されたわが国で唯一のもの。多田研究室長は「中空ピヤーの検査はわが国でも珍しい。これで3回目だ。鉄橋がカーブしているので遠心力が働き振幅がひどい。結果をお知らせできるのは数ヵ月先になるだろう」と語っていた。

中国新聞1958年(昭和33年)8月19日付

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