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ローカル駅・かいわい 芸備線備後落合駅 スキー、観光客の拠点に 名物は「おでんうどん」の店

  • 執筆者の写真: 小鳥 原
    小鳥 原
  • 2024年9月15日
  • 読了時間: 2分

雪に覆われた中国山地のど真ん中、広島県比婆郡西城町の標高452mにある山の駅。島根県と結ぶ木次線との分岐点でもある。狭い谷あいに建てられた細長い木造平屋のひなびた駅舎は、昭和10年12月に開業した。かつては木材・木炭の積み出し基地として栄えたが、モータリゼーションの発達と近代化の波をもろに受け、CTC(列車集中制御装置)が導入された58年10月からは貨物取り扱いが廃止され"観光駅"の色彩を濃くしている。

松本薫駅長は26代目。40年代後半まで40数人いた駅員はわずか9人。「貨車入れ替え作業がなくなったのだから…」と松本駅長は寂しげだが、今は列車が到着するたびに、アノラック姿のスキー客がどっとはき出され、雪山の駅らしいにぎわいをみせている。

同駅の名物は、なんといってもプラットホームの中央にある「おでんうどん」の店。板囲いの古めかしさに温かみを感じさせる。素うどんにおでん2個をつけて320円。湯気がわき立つ中、客の注文をさばくのは瀬尾ヨシコさん(72)と板倉光江さん(67)。コンビを組んでから32年になる。

列車の待ち時間を利用して、かけ込む客は大半がなじみの顔。昔の味が忘れられず、旅行する際、あらかじめうどんを注文してくる人も。「お客さんとの触れ合いが楽しくてね。それが生きがいみたいなもんです。列車が走っている限りかまの火は絶やしません」と頼もしい2人の心意気だ。

駅周辺は10数戸の民家が点在。すぐ下を流れる西城川の支流・小鳥原川に沿って国道183号線を鳥取県側へ進むと、北東には、冬場はスキー場として、夏はツツジやヤマボウシの花が乱舞する道後山(標高1,269m)が位置する。北側一帯は比婆道後帝釈国定公園、西方には県が明治100年記念事業として造成した「県民の森」がある。1,164haにおよぶ雄大な、この森には近代的なスキー場のほか、若人の家・キャンプ場・自然植物園などが設けられており、四季を通じて自然を満喫できる。備後落合駅からのバスの所要時間は道後山25分・県民の森30分。10数年前、正体がつかめないまぼろしの怪獣"ヒバゴン"騒動を起こし話題になったのも同駅近くの比婆連山で、行楽客の心をくすぐるに十分。

毎日新聞岡山版1985年(昭和60年)2月22日付

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