ガス融雪器山の駅で威力発揮ポイントの凍結守る 駅員一人で遠隔操作
- 小鳥 原
- 2024年6月26日
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【東城】広島県北部は4日間も激しい雪が降り続き、芸備線の山間部では、連日ラッセル車が除雪に出動するなど、"白い恐怖"と戦いに明け暮れた。同県比婆郡東城町の小奴可駅(梶原房資駅長)も同線の"山の駅"の一つ。常勤駅員はわずか一人だが、遠隔操作のLPガス融雪器でポイント凍結を防いでいる。
同駅は標高547メートル。積雪量は20日、ついに65センチに達し、気温も氷点下4℃まで下がった。駅長と助役、それに近くの東城駅派遣の駅員が三交代で勤務し正規の常時駅員はただ一人。ほかに岡鉄局が委託している日本交観会社の社員が一人いるが、同社員は出札や小荷物を扱うだけで運転関係の仕事は専ら国鉄職員。事務のほか、列車受けや線路保守に、てんてこ舞い。
この"一人駅員"は国鉄合理化によって生まれたもので、梶原駅長は、「忙しい仕事の中で、一番こわいのが構内のポイントの凍結だ」と言う。雪が凍りつくと、線路の切り替えが出来ず、大きな列車事故につながる恐れもある。ガス融雪器は、いわば国鉄合理化の"申し子"で、48年秋、芸備線では同駅と八幡駅に設置された。これまでのポイントの下を掘ってカンテラを入れ、直接火で熱する方法だと強風が吹いたり、列車が通過して雪をかぶると火が消えるうえ、灯油の補給にも手間がかかる。また電気融雪器だと、1ポイント当たり100万円以上の設備費がいる。
こうした悩みを解消してくれたのがこのガス融雪器で、同駅には上り下りのポイントのそばに、50キロ入りのLPガスボンベ4本(うち2本は予備)を備え、どんな激しい雪の日でも、事務室のガス融雪制御盤のコックをひねるだけで、160メートル離れたポイントの融雪器が点火し、モーターが始動して線路に熱風を吹きつけ、ポイントの凍結を防いでいる。ガスが切れたり、装置に故障がある場合でも、制御盤に赤灯がともってすぐ発見出来るなど山の駅で威力を発揮している。
中国新聞1975年(昭和50年)1月22日付